知的障害の二次障害と精神障害──「働く」を支える就労継続支援事業所の役割
2025.10.22カテゴリー：お役立ちコラム,知的障害
知的障害の二次障害と精神障害──「働く」を支える就労継続支援事業所の役割
希望をもって社会に出たのに、仕事が遅いといじめられ退職、
うつ病と診断され服薬中。
いきいきとした生活を取り戻したい。
～知的障害者の二次障害について～
知的障害を持つ方が社会の中で自分らしく生きていくためには、周囲の理解と継続的な支援が不可欠です。しかし、知的障害に加えて「二次障害」と呼ばれる精神的な問題が生じることで、生活や就労にさらなる困難が生まれることがあります。そんなとき、就労継続支援事業所は「働くこと」を通じて、回復と安定を支える重要な場となります。
二次障害とは何か
知的障害そのものは、認知機能や学習能力に制限がある状態ですが、周囲の理解不足や過度なストレス、失敗体験の積み重ねなどによって、以下のような精神的な問題が二次的に現れることがあります：
- うつ状態
- 不安障害
- 過敏性やパニック症状
- 自傷行為や対人関係の拒絶
- 引きこもりや社会的孤立
これらは「精神障害」として診断されることもあり、知的障害と精神障害が重複することで、支援が難しくなります。
就労がもたらす回復の可能性
「働くこと」は、単なる収入の手段ではなく、自己肯定感や社会とのつながりを育む大切な機会です。特に、就労を通じて「役割」や「居場所」を得ることは、精神的な安定につながります。
しかし、一般企業での就労は、スピードやコミュニケーション能力、柔軟な対応力などが求められる場面が多く、知的障害をお持ちの方が二次障害を発症する例は少なくありません。
就労継続支援事業所ができること
そこで活用されるのが「就労継続支援事業所」です。これは、障害のある方が無理なく働き続けられるよう支援する福祉サービスで、A型とB型の2種類があります。
A型事業所
- 雇用契約を結び、給与が支払われる
- 比較的安定した通所が可能な方に向いている
- 一般就労への移行を目指す支援が充実
B型事業所
- 雇用契約はなく、作業に応じた工賃が支払われる
- 体調や精神状態に波がある方でも柔軟に参加できる
- 生活リズムの回復や社会参加の第一歩として活用される
二次障害への配慮と支援
就労継続支援事業所では、知的障害と精神障害の両方に配慮した支援が行われています。たとえば：
- 作業手順を視覚的に提示し、理解しやすくする
- 感情の変化に気づきやすいスタッフが常駐
- 定期的な面談や心理的サポートの提供
- 無理のないペースでの作業参加と休憩の確保
こうした支援を通じて、「働くこと」が苦痛ではなく、安心できる日常の一部として根づいていきます。
社会とのつながりを取り戻すために
知的障害の二次障害は、本人の努力不足ではなく、環境や支援の不足によって生じることが多いものです。だからこそ、適切な支援体制の中で「働くこと」を経験することが、回復と社会参加への大きな一歩になります。
就労継続支援事業所は、その一歩を支える場所といえます。
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